コラム「エンジョイ反抗期」のお話 その2

昔、AJ生にKくんという子がいました。中学3年生です。

Kくんのご両親はとても厳しくしつけをされ、言うことを聞かないと体罰もあったそうです。勉強にも習い事にも、すべてにおいて徹底して厳しくしていたと、Kくんのお母さまはおっしゃいました。

その反動からか、中学2年生のある日、Kくんは突然暴れ出したそうです。冷蔵庫を倒し、食器を投げ、ガラスを割り、母親を殴り・・それはそれは大変な暴れっぷりだったそうです。

その日を境にKくんは事あるごとに暴れ、親に暴言を吐き、生まれてこなければよかったと叫んだそうです。手に負えず警察に電話したこともあったそうです。悪い仲間ともつるむようになり、背中には入れ墨も入れました。

Kくんのご両親は自分たちの子育てが間違っていたと反省し、今のこの状況はすべて自分達のせいだと言い聞かせ、Kくんの言動に耐え、そして受け入れていたそうです。

「このままだと他人に危害を加えてしまう。」
「ひょっとしたら自殺してしまうかもしれない。」
「私たち親も、精神的に限界だ。」

そんなお悩みから、AJにご相談くださいました。

私はまず、Kくん本人と二人だけで話をしました。私には静かで、とても落ち着いた様子を見せていましたが、言葉の端々に両親の悪口や社会への不満を口にしていました。もっともらしいころを言っていましたが、まだまだ未熟な中学3年生。留学を「島流し」と表現していました。

ご両親は厳しくしつけてきた、とおっしゃいましたが、私は「ずいぶん甘やかされて育ったな」と感じました。私はKくんの頭の中で、大きな風船が破裂するぐらい大きな衝撃がないと、この子は気が付けないと思いました。私は後にも先にも、Kくんほど厳しく指導した子はいません。他の先生が驚いてカウンセリングルームに飛び込んできたぐらいですから。

まだまだ中学3年生。反抗期真っただ中です。

ご両親には、「厳しくしましょう」とアドバイスしました。

しかし、厳しいというのは、決して体罰とか、大きな声で威圧するとか、そういう意味ではありません。

必要なのは、決して親がぶれない厳しさです。

反抗期だからと言って、昔厳しく、つらい思いをさせてしまったからと言って、暴言を吐いたり暴れてもいい理由にはなりません。そんなものを許しては、絶対にいけません。

決して嘘をつかないこと
決して人や物を傷つけないこと
決して無視はしないこと

この三つは守るようにKくんに言い、そしてこの三つを必ず守らせるよう、ご両親に伝えました。

イライラしたり、自分の思い通りにならない時もあるでしょうが、それが嘘をついたり人を傷つけていい理由にはならないんです。これはぶれてはいけません。ぶれない厳しさとは、子を甘やかしたり自分が我慢するよりもよっぽど難しく、親も苦しいです。しかし、自立した大人へと育てていくうえで、親が全力で子どもに伝えなくてはいけない愛情なのです。

それから半年

Kくんは親の言うことに「はい」とは言えなくても、「あぁ」や「うん」と返事をするようになり、家庭内で暴れることはなくなったそうです。普通に会話もするようになり、進路の話も家族で出来るようになったと、お母さまから進路相談のお電話を頂きました。

「悩みの質が変わりましたね」と言うと、お母さまはうれしそうに「はい!」とおっしゃいました。実際にKくんに会うと、とても柔らかな笑顔になっており、言葉もポジティブな内容が多く、半年前とはまるで別人のようでした。

久々のあいさつもそこそこに、「留学してみたいです!」と、Kくん。

「あれれ?以前は『島流し』って言ってなかった?」と水を向けると、照れくさそうに「外国に行ってみたいです。ちゃんと勉強します!」と答えてくれました。

なんと背中の入れ墨も消したそうです。入れ墨を消す手術は大金です。その上留学なんて、大変な資金が必要です。

お父様は「土地を売って家を売って、なんとかなりました」と、ずっと笑顔で話してくれました。

あれから15年以上が経ちます。オーストラリアへの高校留学を終えたKくんは、その後日本の大学に進学し、今は世界を飛び回る営業マンとして活躍しているそうです。そろそろ結婚して家庭を持つとのこと。

子どもが出来れば分かります。子育って大変!
「かわいい」だけじゃ育たない。「たのしい」だけじゃ育たない。だからみんな、もがくんです。子どもを全力で愛しているからこそ、「大変」なんです。

これがどこからともなくやってきた珍獣なら、泣こうがわめこうがほっときますよね。手に負えなくなったら動物園にでも預けちゃえばいい。大切なわが子だから、ちゃんと自立してほしいと願うから、大変なんですね。特に10代は。

決して嘘をつかないこと
決して人や物を傷つけないこと
決して無視はしないこと

これさえ守れば、子どもには存分に反抗期を楽しんでもらって結構!
自立した大人への、第一歩です。

株式会社 AJ 代表取締役 岩崎宗仁

AJ国際留学支援センター
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